事業をやっていて何がいいかって、成長度合いが半端じゃないことです。
私は、約6年間エスラグジュールというアパレル会社(EC、店舗、卸、製造など)をマークシティ本社にて創業者として経営していて、そこでも相当成長したと思ってきたのですが、昨今ここ1ヶ月の成長と比べると、最近の伸びしろは自分でも驚いているくらいです。
全ての霧が晴れたかのように、今まで不得意だと思っていた管理も面白いわ、視点の高い仕事はもちろんのこと、雑務すらも面白いと感じられるほどになりました。今ではバックオフィス的な仕事も楽しいです。
では、なぜそうなったのか、少し過去を振り返ってみたいと思います。
前会社エスラグジュール倒産後は、一転個人でスーパーフリーエージェントになり、倒産からちょうど半年後2012年の1月には、月収1億(営業利益1億)を一人で達成することができました。
住まいはミッドタウン、愛する可愛い彼女と愛犬がいて、車は新型のフェラーリ458スパイダーとカリフォルニア、ベントレーとベンツSL。
時間をもてあまし、いつも彼女とミッドタウンでランチをしたり、海外はハワイやバリ、インドなどに行ったり、お散歩をしたり、それはそれはのんびりとしたストレスフリーの生活をしていました。
周りから見たらどう考えても、幸せすぎる幸せだったと思います。
でも、なぜか虚しく、満たされず、去年の3月頃は虚無感に苛まれ、人生ってこんなもんかぁ、これほど欲しいものを手にしても、あんまり楽しくないもんだな、とか本当に何か虚しく思っていたものです。
そこで、人生に迷ったら歴史ということで、呉越の戦いという春秋戦国時代の呉王、越王の熾烈な戦いの物語を食い入るように読むようになり、越王の無念と屈辱、そこからの反転勝利という大逆転を見て、思い立ちます。
俺は、やっぱり起業家だ。
倒産で馬鹿にしたやつらを見返す・・・
負の動機によって生まれたのがFASでした。
そこから、フリーエージェントスタイルという名前を決めて、組織化を図ることを決断。
メンバーを募集しようと思い至ります。
結果、優秀なメンバーのおかげで会社は大きくなるも、私は、新天地メディアに出て知名度を挙げるということに力を入れ、それが奏功、結果として、お金、組織、知名度を得ることになります。
結果、とてつもない利益をも出し、住宅は4つも5つもある中、車もロールスロイスが加算され、海外に行けば、1泊100万のホテルに泊まるという豪華な旅行をしていました。
しかしながら、そんな生活を続けた2013年、ここでもまた、虚無感が襲い始めていました。
何かが違う・・・。
起業家でも面白くなく、フリーエージェントでも面白くないなら、私は一体何を求めているのか・・・
そんなとき、藤田さんの起業家という本を読んで立ち上がることを決意。
オールオブミーを資本金1億で設立。
しかしながら負の連鎖を断ち切ることができず、中途半端なままの自分。
そこから色々なことが起こり、真摯に周りの声に耳を傾けることで目が覚めた。
今、ようやくわかった気がします。
私は、事業を通じて、人として成長したいということ、楽しいことをいっぱい知っているにもかかわらず、今の仕事生活の方が100倍楽しいという事実。
そして、フリーエージェントを体験してわかったことですが、FAは、ストレスを避け、なるべく楽しい人生を歩もうとする姿勢です。
とても理想的な生活なのですが、成長の度合いという意味では、事業には適わないものです。サラリーマンよりはFAの方が成長します。それは私は間違いないと思っています。誰の看板も借りずに独力で生きていくのですから。
でもね、事業は、もっと成長させてくれます。
組織をやっていると、とてつもないストレスを感じることも多く、ピンチの数も多ければ、社員の分まで責任を取ることも多々あります。
それは短期的に見ると、とても不幸のように思えるものですが、長期で見ると、事業、つまり人とぶつかり合い、他者(部下)の責任までしっかりとり、数字に責任を負い、時に取引先さんの失敗にも責任を取ったりすることは、人間的に大きく成長できることだと確信しました。
何があっても自分の責任。自分の脇が甘いから起こることです。
今、私は、猛烈に働いています。自分で納得できる会社になるまでこの戦いはあと5年も10年も、下手すれば死ぬまで続くのかと思います。
でも、自分は今幸せです。
全く知らない価値観を知り、全く知らない境地で失敗ができ、全部に責任を負え、そしてそこから教訓を得られるという立場に、この上なく感謝しています。
事業家になると、良い意味での資金との戦い、人との戦いが始まります。
ただ、私は今ライバル会社とか蹴落としたい企業、負けたくない人はなぜかいません。完全に消えました。
そんなことより、重要なのは、自分にしかできないことをやることと、未だこの世にない顧客価値を生むことです。
ビジネスは競争だと思ってきましたが、なぜかどうでもよくなりました。
お金と人が教えてくれることはとても大きいです。
私は、これまで売上や利益が一番大事だと思ってやってきましたが、その考えも明らかに間違いであることに気づきました。
売上を一番にするのは、二流。
事業価値や顧客価値、社会価値を考える事業家が一流なんだと、心の底から思えるようになりました。
今さらですが、この1ヶ月ちょっとで、世界の見方ががらっと変わってしまいました。
いくつかのプレゼン資料などを読んでいても、いくら儲かる、いくら売れるということを強調しているものには、何も、ときめかなくなってしまいました。
それより、この事業が伸びることで、何の価値があるんだ?ってことをずっと考えてしまいます。それがなければ無理だな、と思います。
ですから、私がこれからやっていく事業は、それが伸びても社会価値がないのであれ、やりません。
世の中には、残念ながら、売上や利益があったとしても、社会価値のある事業とそうではない事業があります。
社会価値を目指している起業家とそうでない起業家がいます。
自分のことを棚に上げて話しても仕方ないので、以前の私は社会価値を考えていない起業家でした。これは起業家でも何でもないということ。
迷惑をかけるので、起業家としては消えた方が良いです。
自分が、自信を持って、顧客の価値を考え、その先に何か実現したい価値がある場合にしか、今後はジョイントもしませんし、私が登場することも参加することもありません。
私は、すごく極端で、それが腑に落ちると、そっちに一直線するタイプです。
失敗すればするほど、真実に近づくこの感覚。
事業というのは、人を成長させてくれます。
人は、人にもまれ、お金や権力の魔力と対峙し、見栄とプライドと勝負しながら、呑まれ這い上がり、やがて、器として大成していきます。
だから、お金を持ったことがなければいけないのかもしれません。権力を持ったことがなければいけないのかもしれません。見栄とプライドも持ったことがある方がよいのかもしれません。
それらのパワーと限界を知れるからです。
すると、権力やお金、プライドがいかに個人的で、どうでもいいことだということに本当に気づくことができます。
そうでなければいつまでも、金、権力、見栄の幻想の魅力にどこかで惹かれる自分がいると思うのです。
だから、私は、お金を持てて良かった、知名度というものを経験できて良かった、天狗になった自分を見れてよかった、と心から思えます。
それがあったからこそ、ここまで人生の早い段階で、大切なことに気づくことができたからです。
私の今の人生のテーマは、顧客価値を創造し、人として大成することです。
真の顧客価値が生まれれば、だまっていてもお金持ちになってしまうものです。求めていなくてもお金が天から付与されるものです。
豊かになることは決して悪いことではないです。
しかし、それは結果論。
価値を創出した人にあとから与えられるのがお金だということ。
お金を最初に求めず、価値を作ることだけを考えるべきです。
焦らず、ゆっくり価値作りに励む。
これが起業家です。
そうしたら、最初にリスクをとって行動したことを社会が評価してくれて、「必ず」お金を与えていただけます。
もちろん、ビジネスにはセンスや努力、知識、経験も必要です。
それらがなければ社会価値は創造できないからです。
そして、蛇足ではありますが、「かっこいいこと」にこだわるのも二流です。
かっこいいから=価値があるというわけではありません。
かっこいいことを目指した事業がたくさん失敗したのを知っています。これも見栄の一種だからです。アパレルなどではよくあります。中身が、発言と展開に伴っていないわけです。
ブランドは確かに、大切なものです。信頼とイコールだから。
でもブランディング活動というのは、企業の行動(中身)をあくまでよりよく引き立てるために行われるものだと思います。
中身がないのにブランディングしても意味がありません。
つまり、この世の中は、行動のみが、今後支配していきます。
言葉は、行動の結果を説明するにすぎないのかもしれません。
一流の事業家ほどごちゃごちゃ言わずに行動しています。
なぜ、今私がごちゃごちゃ言っているのかと言うと、私にとっては、これが価値提供の一つの側面だからです。
だから、これからもリアルタイムで本音でメッセージを伝えていきます。
多分に発言する起業家は少ないからこそ、私が色々伝えていかなきゃという思いがあります。
それが「私にしかできないこと」の一つだと思っています。
もちろん仕事面ではごちゃごちゃ言わずに、ただひたすらに仕事を楽しんでおりますよ^^
弊社グループが力を合わせて送り出す社会を変えるような確固たる商品、いつの日かそれを皆様にお披露目するのが、楽しみであります。
与沢 翼